『インボイス制度』
なんだそれ?..
難しそうな言葉ですが、お任せください。このページではキッチンカーのためのインボイス制度を超わかりやすく解説します。
まず、売上が年間1,000万円未満の方は安心してください。インボイス制度が始まっても特に問題ないので、そっとこのページを閉じてもOKです。
ただ年間1,000万円以上売り上げているキッチンカーの方、あなたは無視して通れない道です。
インボイス制度を知らないと脱税で捕まったり、無駄に多くの税金を払ったりします。
この記事ではキッチンカー事業者に特化して、インボイス制度をわかりやすく教えます。
1,000万円を売り上げてない方は現状そんなに気にすることは無いですが、将来1,000万円を売り上げる予定なら、最後まで読んでおいた方がいいでしょう。
キッチンカーのインボイス制度を解説します
まずはインボイス制度はなんなのかを、シンプルに表現すると「新しい請求書」です。
この新しい請求書が発行できないと、お金を払う側にデメリットが生じてしまいます。
どんなデメリットがあるのはゆっくり解説していくのですが、とにかくインボイス制度に登録しないと、お金を払う側にデメリットがあることを理解してください。
今までのキッチンカーの消費税
ではお金を払う側にどんなデメリットがあるのかというと、多く消費税を払わなくてはいけない可能性があるということです。
「消費税を払う」というのは、お店にではなく税務署に多く払うことを意味します。
これをわかりやすくするために、今までのキッチンカーの消費税についてお伝えします。
売上が1,000万円未満のキッチンカー
まずよくあるキッチンカーの消費税についてです。
街で見かけるキッチンカーは、ほとんどこの形だと思ってください。年間の売上が1,000万円に満たないキッチンカーです。
お客さんに商品を販売しますが、そのときに消費税を取ったり、取らなかったりします。
私の知るかぎりでは消費税を上乗せするキッチンカーは少ないのですが、消費税を乗せて販売しても問題はありません。
そしてお客さんから消費税は取りますが、税務署に消費税は納税しないのがこのパターンです。
図だとわかりやすいですが、このキッチンカーは30円の得をしています。
消費税を取るくせに納税しないのは、一見するとズルいように見えますが、これは「益税」と呼ばれていて、まったく問題ないことです。
年間の売上が1,000万円に満たないキッチンカーは、消費税の納税義務がありません。
売上が1,000万円以上のキッチンカー
逆に年間の売上が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が生まれます。
ただキッチンカーの場合は仕入れで消費税を払ってますよね。
この払った消費税は、もらった消費税と相殺することができるのです。
図で見てみると、仕入れで10円の消費税を払っていて、商品を売ったときに30円の消費税をもらっています。
これを相殺して消費税の支払いは20円で済んでいるようです。
すでに払っている消費税は、追加で払う必要がないということを覚えておきましょう。
インボイス制度でどう変わる?
では2023年の10月に開始されるインボイス制度で、このキッチンカーの消費税のあつかいがどう変わるのでしょうか。
インボイス制度とは「新しい請求書」と言いましたよね。
仕入れのときに、新しい請求書をもらえるのと、普通のレシートをもらえるのとで差が出てきます。
また売上が1,000万円に満たない方は、変わらず消費税を納税する必要がないので、特に気にする必要はないです。
そっとページを閉じてもらって大丈夫です。
ここからは、売上が1,000万円に届きそうな方、将来1,000万円になる方はよく読んでください。
インボイス制度の導入でどう変わるのかを解説します。
通常のレシートをもらった場合
なんと今まで仕入れにかかっていた消費税を差し引くことができません。
2023年10月からは、インボイスと呼ばれる新しい請求書をもらわないと、消費税を相殺できないのです。
新しい請求書には「登録番号」という、認められた事業者に与えられる番号が付けられるそうです。
登録番号がない普通の請求だと、多く消費税を払うことになってしまいます。
つまりインボイス制度を導入していない、卸し業者から仕入れをすると損をします。
これが今回インボイス制度の大きな違いと言ってもいいでしょう。
10月からは、1,000万円を超えるキッチンカーは仕入れ先をよく見てないと痛い目にあいます。
インボイスの請求書をもらった場合
仕入れ先がしっかり、新しい請求書を準備してくれることによって、ようやく消費税を相殺することができます。
もう一度言いますが、新しい請求書には登録番号が記載してありますので、仕入れ業者の領収書をよく確認しなければなりません。
このように今までは普通のレシートで問題なかったことなのに、インボイス制度を導入したことによって、手間がかかるようになりました。
国にとってはより税金を徴収できるようになったのですが、キッチンカー事業者にとってはデメリットしかないように思います。
インボイス制度に批判が集まっているのは、このような理由があったのですね。
少しあるキッチンカーへの影響
ここまで読んでもらってわかる通り、売上が1,000万円以上のキッチンカーなどほとんどいないので、影響はあまり無いと思います。
しかしインボイス制度が導入されることによって、少しだけ気になることがあるのです。
それは「買取案件」です。
買取案件といえば、キッチンカーが目を輝かして飛びつくイベントです。
かんたんに説明すると、企業がまとめて商品を購入してくれることを言います。注文が大量に入り、出店時間も短いことが多いので、とてもコスパがいいことで有名です。
そんな買取案件がインボイス制度によって、やりずらくなってしまうのではないでしょうか。
どんな影響が考えられるか、これもわかりやすくなるように、図解で説明します。
インボイス制度に登録しない大きなデメリット
買取案件だとキッチンカーがお金をもらうので、キッチンカーが請求書を発行することになります。
もしインボイス制度に適応していないと、新しい請求書を発行できず、登録番号が書いていない普通の請求書を発行することになります。
これだとお金を払ったイベンターは、消費税を多く払うことになるかもしれません。
キッチンカーに消費税を払ったのに、普通の請求書だと相殺することができないからです。
対策としては消費税をもらわないこともできるかと思いますが、インボイス制度に対応しているキッチンカーに案件が流れてしまうことも考えられます。
このようにインボイス制度に対応しているキッチンカーなら、消費税を相殺できるので安心してイベントを依頼できます。
しかしこればかりは企業の考え方次第です。
実際にインボイス制度がはじまってみないと、どうるかはわかりません。
冒頭では『売上が1,000万円未満のキッチンカーには関係ない』と言いましたが、可能性として、インボイス制度に適応していないキッチンカーは、イベントに不利になることも考えられます。
インボイス制度に登録するかは任意
ここまで「キッチンカーがインボイス制度が始まると、どうなるのか」を解説してきましたが、そのインボイス制度に登録するかどうかは任意なのです。
買取案件などで信頼を得るためにインボイス制度に登録してもいいですし、今まで通り登録しないことも自由です。
ただ売上が1,000万円以上のキッチンカーはどちらにしろ、消費税の納税義務があるので、登録した方がメリットが大きいです。
売上が1,000万円未満キッチンカーは、インボイス制度に登録しなくても大丈夫です。
登録したら信頼が増す代わりに消費税を払うことになります。登録しなければ買取案件のリスクが増えますが、消費税を払う必要はありません。
よく考えて、自分で選択してください。
2023年10月に施行されるインボイス制度ですが、キッチンカー業界にどんな影響が出るのかは、よく見ておこうと思います。