2020年から2021年に流行したバナナジュース店が、ここ最近は影をひそめてます。
どの時代にもブームは起こるもので、これまでもタピオカやマリトッツォなどがありましたね。残念ながらバナナジュースも一時期のブームで終わってしまいました。
ではそもそも
- なぜバナナジュースは流行したのか
- なぜ流行が終わってしまったのか
キッチンカーを中心に、いろんなテイクアウト業態を見てきた僕が考えてみたいと思います。
ということで、今回の記事の内容は
- バナナジュースが人気になった理由
- バナナジュース人気低迷の理由
- バナナジュースの失敗から今後に生かせること
こんな構成で書いていこうと思います。
結論としては「流行のものに乗るべきではない」と思うのですが、この考えはキッチンカー開業にも大事なマインドです。
バナナジュース屋がオワコン化している
2020年、当時クレープのキッチンカーをやっていた僕は、ある日一緒にバナナジュース屋さんと出店していました。
それは夏の暑い日でして、クレープはほとんど売れてなかったです。
しかし僕の目の前にはバナナジュースを求める多くの人が列を作っていました。
『バナナジュース凄いなぁ』2020年の夏、僕はそう思ったのをはっきり覚えています。
当時は間違いなく、バナナジュースはデザートブームの真ん中にいました。似たような名前でバナナジュース専門店が乱立したのもその頃です。
しかし2022年、もうバナナジュースの話題はまったく聞かなくなりました。まずはバナナジュースが流行した、その背景について調べてみました。
なぜバナナジュース店が増えたのか??
おそらくこれが一番の理由だと思います。
2019年7月23日、TBS「マツコの知らない世界」にて、バナナジュースに人生を捧げる女性として野田枝里さんが紹介されました。
そこで語られたのはバナナジュースを飲むメリットや、美味しいジュースの作り方です。
その放送の後からTwitterでも「バナナジュース」関連のツイートが多くなっているように見えますね。
放送が2019年7月、2020年頃から流行りだしたのでタイミング的にもピッタリかと思われます。
さらに拍車をかけるように、企業もバナナジュース専門店を作り始めます。
- 「BANANA STAND」2019.11 OPEN
- 「めっちゃバナナ」2020.3 OPEN
- 「バナナの神様」2020.4 OPEN
- 「ばなな王国」2020.5 OPEN
- 「FANKY MONKEY BANANA」2020.6 OPEN
- 「Banana planet」2020.8 OPEN
バナナジュースの原価率は15-20%と推定されます。
利益が出しやすく、企業としてもバナナジュースは儲かる商品だったのです。
ということで、マツコの知らない世界の影響力と、企業がバナナジュースに乗っかったことで一気に広まったのだと推測されます。
なぜ人気が無くなったのか??
2020年に流行になったバナナジュースですが、2022年にもなると閉店する店舗が目立つようになってきました。
ここで最近閉店された店舗を紹介します。
- 「BANANA STAND」nonowa国立店/2020.6 閉店
- 「めっちゃバナナ」イオンモール津田沼店/2022.5 閉店
- 「めっちゃバナナ」FC館林店/2022.4 閉店
- 「めっちゃバナナ」浦和店/2022.6 閉店
- 「バナナの神様」荻窪駅前店/2022.3 閉店
- 「バナナの神様」八千代緑が丘店/2022.6 閉店
- 「ばなな王国」新前橋駅前店/2021.9 閉店
- 「ばなな王国」FC練馬店/2021.11 閉店
- 「FANKY MONKEY BANANA」高松店2021.1 閉店
- 「Banana planet」仙台小田原店/2022.4 休業
- 「Banana planet」仙台二日町店/2022.5 休業
- 「sonna banana」南砂店/2020.10 閉店
2021年後半から2022年にかけて、閉店の勢いが加速しているのがわかります。
ではなぜバナナジュース店は下火になったのでしょうか。その理由を考えてみます。
1.リピーターが増えなかった
僕は何店舗かバナナジュースを飲んでみましたが、もう一度飲みたいと思えるものは無かったですね。
もちろんおいしいのですが、想像を超えなかったです。
実際に各店舗のバナナジュースを飲んだ方の”悪い意見”を、Googleマップから集めてみました。
バナナスムージーを注文。自然な甘みでおいしかったけど、バナナをそのまま食べた方がおいしいと思った。
値段が高いので期待していたらバナナの味はほとんどせず、8:2で牛乳の味でした。バナナ風味の牛乳。蜂蜜スムージーを頼むも、蜂蜜の味も一切せず残念。
氷が入っていないのでバナナ感が強いですね。もっちりというかまったりというか。まあおいしいけど、普通のバナナジュースかなぁ。
もちろん『美味しい』との書き込みもたくさんあります。しかし事実として、閉店することになったバナナジュース店が各地であります。
閉店する理由は儲からなくなったからです。
例え美味しいとの評価があったとしても、リピーター獲得に繋がっていないのは間違いないでしょう。
2.価格に似合わない
これも口コミからですが『高すぎる』という意見が多くありました。
土曜日の昼過ぎに訪問。Lサイズの竹炭にしました。750円というバカみたいに高いジュース。これ1本で普通のランチが食べられる値段設定に疑問。750円に見合うかと言われるとNOです。
美味しいけど内容量が少なすぎます。ヤクルト1本分で320円は高すぎます。しかもパッケージとは違うもっと小さい袋みたいなジュースで渡された。ヤバすぎます。
バナナジュースは高級路線をいき、1杯あたり700円とか1,000円を設定する企業が増えました。
厳選されたバナナとはいえ、普通に買えば1本あたり30円程度です。
ジュースにしては強気な値段設定なのも、ブームを終わらせた一因かもしれません。
3.自宅でもかんたんに再現可能
バナナジュースはミキサーがあればかんたんに作れます。
ぜひ自宅で作ってみて欲しいです。
- バナナ2本の皮をむいて冷凍する
- ミキサーに牛乳200mlと冷凍バナナを入れる
- ミキサーにかける
- 完成
お店のバナナジュースとほとんど変わらないものが出来あがります。
誰でも安く再現できてしまう商品なので、わざわざ外で買う必要もないと思う人もいたのかもしれません。
バナナジュースから学ぶべきこと
最後にバナナブームと同じ失敗をしないために、今後に意識するべきことはなんでしょうか。
自分のことに落とし込んで考えることが重要です。
〇〇ブームには乗るな
タピオカ、マリトッツォ、バナナジュース
もう僕たちは十分にわかったと思います。
ブームに乗っかっても稼げるのは一時期だけです。
本業として取り組むのではなく、サイドメニューとしてなんとなくブームに乗るのが上手いやり方です。
バナナジュース専門店では、この先経営は厳しいでしょう。ブームに乗って〇〇専門店を出すのは、かなりリスクがあります。
広告費主体の飲食店は続かない
バナナジュースは原価が安いので、広告費に大きくかける企業が多いです。
つまりお金をかけて、価値があるように見せることができるんです。
広告費主体の商品としてよく例に出されるのが「レッドブル」です。
レッドブルはエナジードリンクとして200円で売られていますが、原価は10円未満と言われていいます。
広告費をかけて、200円の価値がある飲み物だと意識付けられてきたんですね。
バナナジュースもこれと同じような戦法を取ったと思われます。
しかしバナナジュースはレッドブルにはなれませんでした。
広告費を大きくかけると、期待値が上がりすぎるのも原因かもしれません。実際に飲んでみて『言うほどでもないな』と感じた人も多いはずです。
やはり商品のクオリティがあっての広告です。例えばゴミをおいしく見せたところで、それはゴミです。
これからは広告費に任せるビジネスモデルは厳しいと思います。
自分では再現が難しく、本当においしいものだけが生き残っていくのでしょうね。