飲食店のDX化は机上の空論か??ブルースターバーガー閉店に学ぶ

閉店ごめんなさい

新しい飲食店の形として、カケハシフードトラックは以前このような記事を書きました。

高い原価率 【ブルースターバーガーに学ぶ】原価率60%で勝負できるのか

かんたんに説明すると、目黒区に新しく誕生した「ブルースターバーガー」という店舗に注目して、新しい飲食店の戦略を紹介した記事です。

このお店は

  • 完全キャッシュレス
  • テイクアウト専門
  • 売れ切れたら終了
  • フロントに人を置かない

このようにすることで、なんと170円のハンバーガー、原価率が60%という商品を提供していました。


『これは新しい!!』と思って、そのビジネスモデルを紹介したのですが、2022年8月になんと全店舗が閉店してしまったそうなのです。

つまり私もいいと思った戦略が、通用しなかったということです。


今回はこの事実に注目し、なぜブルースターバーガーが閉店に追い込まれていったのかを分析したいと思います。

新しい挑戦をして、失敗した歴史はしっかりと学ぶべきだと思います。

ブルースターバーガーがある意味、犠牲になってくれたので僕たちはこれを生かしていきましょう。

ブルースターバーガー閉店の原因とは??

まずはかんたんにブルースターバーガーの沿革を見ていきます。

2020.11.10 中目黒に1店舗目が誕生

2021.10.07 店内での飲食スペースを設置

2021.12.03 2号店として神戸元町店がスタート

2021.12.22 3号店として立川北口店がスタート

2022.01.07 4号店として渋谷宇多川店がスタート

2022.05.31 神戸元町店、立川北口店が閉店

2022.06.30 渋谷店が閉店

2022.07.31 中目黒店が閉店

結果的に本店である中目黒店ですら2年も経たずに閉店となり、渋谷店は半年もたずに閉店となりました。

開業当初は注目を浴びたブルースターバーガーは、どうして閉店になったのでしょうか。専門家など、いろんな憶測はあるのですが、とりあえず事実だけに注目しましょう。

スムーズな決済のはずが..

まず注目するべきは、決済方法についてです。

フロントに人を置かないシステムで、注文から決済までをタッチパネルに任せていました。

タッチパネル
全てタッチパネルで注文

これで並ぶことなくスムーズに注文できるはずが、実際にはお客さんが殺到し、タッチパネルの前に行列ができていたそうです。

開業当初は注文後にハンバーガーができあがるのに、1-2時間待たされたという方もいます。

タッチパネルの操作方法、決済方法に慣れない方が注文に時間がかかってしまうのは仕方のないことです。

完全キャッシュレスの廃止

ブルースターバーガーの最初のコンセプトとして、完全キャッシュレスを推進していました。

これは会計のスピードだけでなく、コロナ禍を考慮した感染症対策の意味も含まれています。


しかし日本での完全キャッシュレスは不満が多かったようで、最終的には現金払い専門のタッチパネルも店頭に設置しています。

キャッシュレス推進を目指していたのですが、現状だと現金も使えないと厳しいようですね。

専用アプリの評価が悪い

ブルースターバーガーには注文ができる、専用のアプリがありました。

しかしこのアプリがどうやら悪かったみたいです。

アプリの評価

アプリの評価は驚異の1.3。

口コミ01
口コミ02

最大の原因はここにあるように思いました。

使いづらいアプリほど苦しいものはないです。無理してアプリを開発せずに、他社のサービスを使ってもいいのかなと感じました。

テイクアウト専門店をやめた

当初はテイクアウトだけに特化した店舗をデザインしていたのですが、開業から1年後には店内に立ち食いができるスペースを設置していたようです。

テイクアウト専門店だった
当初はテイクアウト専門でスタート

さらに4号店の渋谷の店舗は最初から55席の飲食スペースがありました。

つまり途中で完全に「テイクアウト専門店」をやめたことが分かります。


おそらく経営していく上で、イートインスペースが必須だったと判断したのでしょう。テイクアウト専門店でやっていくには限界を感じたのだと思います。

そもそもテイクアウト専門店にしたのは、飲食スペースを無くすことでテナント料を削減することができるためです。

削減したテナント料や人件費のおかげで、原価率60%越えのハンバーガーが実現していたのに、そのコンセプトをくつがえしてしまったようです。

軸がブレてしまった

このように

  • 完全キャッシュレスの廃止
  • テイクアウト専門店の廃止

という2つの前提を変えてしまうと、人件費とテナント料がかかります。つまり材料費にお金をかけれなくなってしまい、原価率60%のハンバーガーは続けられないはずです。

経営していくうえでの方向転換なのでしょうが、最初に掲げていた軸がブレてしまっているように見えます。

しかしそもそもアプリが使いづらいというのは、大きな問題でしょう。


何が本当の閉店の理由かは分かりませんが、ブルースターバーガーが目指した結果にはならなかったようです。

ただ2年間で閉店を選べるという損切りの速さは、見習うべきところだとも思いました。

僕たちが学ぶべきこと

最後にブルースターバーガーが残した結果から、僕たちに生かすべきところをいくつかあげます。

完全キャッシュレスは難しい

現状の日本においては、キャッシュレスと現金を同時にあつかえるようにした方がいいみたいです。

キャッシュレスは浸透してきてますが、まだまだ現金派も多いです。100%キャッシュレスは難しいようです。

専用のアプリを開発しない

大きな資本を持っている大企業は除きます。

独自のアプリを作ろうと思っている人は少ないと思いますが、アプリを使うなら既存のものを使うべきです。

「STORES」「menu」「Table Check」など、テイクアウト注文ができるアプリはたくさんあります。

お金をかけてアプリを作る必要はありません。すでにある信頼できるサービスを使うべきです。

無理だと思ったらすぐに辞める

開業からわずか2年で閉店しました。

しかし他の人の評価を見ると、ブルースターバーガーはそこまで閑散としていたわけでは無いようです。

普通に売上はあったようで、続けようと思えば続けられたはずです。


しかしコンセプトを変更した影響か、予想を下回る売上だったのか分かりませんが、2年で撤退したのです。

この見切りはじつは難しいことなのです。


人間というのは損を極端に嫌うもので、途中で辞めるということができない生き物なんです。

長い目で見れば辞めるべきことでも、目先の損を恐れてなかなか踏み切れません。

2年で撤退の判断ができたというのは、じつはかなり凄いことです。

やってみないと分からない

ブルースターバーガーもまさか、こんな結果になるとは思っていなかったでしょう。

スムーズに決済するつもりが行列になってしまったり、テイクアウト専門をやめたり..


しかしこれはやってみて分かったことなんです。

何も新しいことを始めなければ、何も知ることができないのですから。

新しい飲食店のシステムを試してみたブルースターバーガーの功績は大きいと思います。

おそらく今後は、この経験を生かした新しい事業が展開されるでしょう。撤退は前進ですからね。

「何事もやってみないと分からない」ということを体現してくれたような気がします。

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