「僕が今からキッチンカーをやるならクレープは選ばない」
ご存知の方も多いかと思いますが僕は元クレープ屋さんでした。YouTubeでも活動を公開していたんですが、当時を振り返るといろいろキツかったです。
今回はキッチンカーでクレープ屋をやると、どうなるのか正直に話そうと思います。
じつはキッチンカーで一番多い商材はクレープなんです。こちらカケハシフードトラックの登録店でもクレープ屋さんが一番多いです。
もしこれからキッチンカーでも店舗でも、クレープ屋の開業を目指している方は最後まで読んで欲しいです。クレープ屋の大変さを紹介します。
では今回のテーマはこちら。
クレープ屋は不利である
まず結論から話すと、キッチンカーの商材でクレープを選択するのはおすすめしません。
なぜなら儲けるのが難しいからです。大きく理由は3つあります。
- 回転率が悪い
- 単価が安い
- 競合が多い
このブログでは、最初にクレープ屋が儲からない理由を解説します。その次に、それでもクレープ屋をやるには、どうすればいいのかを紹介しようと思います。
クレープは注文が入ってから焼き始めるので、完成に時間がかかります。
早くても、1つ作るのにおよそ3分、盛り付けをこだわれば5分以上かかることも普通です。
回転が悪いと行列になり、買うのをやめてしまう人がいたり、途中で帰る人もいます。
これは機会損失に繋がり、売り上げは落ちています。
対策として皮を作りおきすることもありますが、時間が経つとクレープは美味しくなくなります。
稼ごうと思うなら、作りおきは現実的ではないように思います。
ということで一つ目の理由は、回転率が悪いので儲けたい人には向いていないからです。
クレープの相場は500円くらいですよね。
大手をはじめとする、昔からのクレープショップが500円でやっているので、このイメージを変えるのは難しいです。
そして注文するのは1人1個なので、客単価は500円となります。
この条件で稼ごうと思うと、量をたくさん売るしかないのです。
つまり、薄利多売の競争に巻き込まれやすいです。
大手なら食材を大量に購入して、人をたくさん雇ってとできますが、個人のキッチンカーではまず薄利多売では勝てません。
頑張って大量に作ろうと思っても、体力がもたなくなります。持続はかなり難しいです。
これが儲からない二つ目の理由です。
とにかくクレープ店の数が多いです。
キッチンカーでも開業数はNo.1であり、さらにチェーン店の存在も忘れてはいけません。
- マリオンクレープ
- ディッパーダン
- マザーズクレープ
この企業も近くにあれば、十分競合になり得ます。
そしてキッチンカーが競合したときには、どちらかの店舗が禁止になったり、テナントにクレープ屋さんがある場合には、その場所に出店することすら無くなります。
競合が多いというのが、儲からない3つ目の理由です。
クレープ屋の戦略とは
ここまで3つの、クレープ屋が儲からない理由を紹介しました。
ではどうすればいいのか、という対策を自分なりに考えてみます。もちろん、これで儲かるようになるわけではありません。
これが最善の手だと思います。
まずは薄利多売をやめて、高級路線のクレープ屋さんになることです。
単価を1,000円以上に設定します。
例えば冷凍ホイップを使わない、チョコソースをやめて本物のチョコを使う、生地を一から自分で作り、卵や小麦粉からこだわることで高級感を演出します。
もしこれができれば、たくさん売らなくても稼ぐことができ、商品の差別化で競合も無くなります。
しかしこれを実現する設備を、キッチンカーに置けるかが問題です。
現実的には難しいか..
本物のホイップクリームを常に用意しておくには、温度管理をしないといけません。おいしいクリームを作る技術も必要です。
チョコも常に温めておかないと使えません。
さらにこだわりの生地を毎回、自分で仕込みができるでしょうか。高級食材を仕入れる場所も必要です。
クレープの高級路線を実現するには、思いつくだけで厳しいハードルがいくつもあります。
固定店舗でならできそうですが、これをキッチンカーでやるのは訳が違います。
設備面と環境面で、キッチンカーで高級路線はかなり難しいと思います。
そうなるとやっぱり、キッチンカーは低価格路線で戦うしかないのかもしれません。
薄利多売を抜け出すのが手段だと思いますが、それが難しいという結論です。
次の戦略は500円のクレープでも、大量に売りまくるというものです。
つまり真っ向から薄利多売をやりにいきます。
原宿のクレープ店は、まさにこの戦略で戦っています。
しかしこれは「出せば売れる」という条件だけで成立するもので、キッチンカーすべてが通用わけではないです。
一部の大型イベントでは有効ですが、通常の出店で原宿のように売れる場所などありませんからね。
もしそういう場所があるなら、薄利多売もいい戦略だと思います。
これはちょっと話がズレますが、そもそも稼ごうと思わずに、楽しいという理由だけでクレープ屋さんをやるのが、一番だと思います。
僕自身もいろんな場所で出店してきましたが、人が集まるイベントなどでクレープを販売するのは、とても楽しかったです。
しかし「稼がなければ」と思うだけで、焦りも生まれ、一気に楽しく無くなります。
儲けたいという思いがなければ、クレープ屋さんは結構楽しいです。
クレープ開業に必要なアイテム一覧
フランチャイズに注意
以上を踏まえて、特に注意してほしいのがキッチンカーのフライチャイズ加盟です。
彼らはクレープ屋を量産することで利益をあげています。
そのためクレープ屋が儲かっていることにしないと、収益を確保できないのですが、誇大広告があったりします。
例えば「年収1,000万円も狙える」や「月収100万円達成」などといったものです。
そもそも同じような店舗を量産していては互いに競合するので、デメリットも多いはずです。
フランチャイズに関しては、こちらも記事もご覧ください。
【ちょっと待て】フランチャイズに加盟するべきでない理由この記事に書いてある通り、クレープ屋経営はとても難しいのです。
稼ごうと思うなら、フランチャイズ加盟は慎重になりましょう。
まとめ
ではいかがだったでしょうか。
クレープ屋さんのリアルをお伝えしてきました。現役のクレープ屋さんは、認めたくないところもあったかもしれません。
しかしこれが僕の本音です。ご容赦ください。
最後に今回の内容をまとめます。
クレープ屋が儲からない理由
- 回転率が悪い
- 単価が安い
- 競合が多い
これからのクレープ屋の戦略
- 薄利多売を抜け出し、高級路線で戦う。
▶︎しかしキッチンカーという環境ではとても難しい。 - 人件費をかけて薄利多売を真っ向からやる
▶︎たくさん売れることが前提でリスクが大きい。 - 儲けようと思わないで、楽しさを追求する。
- フライチャイズには注意
世の中にはそれでも稼いでいるクレープ屋さんは確かに存在しています。
しかしそれは一握りの企業で、これからそのポジションを目指すのは、かなり難しいです。
キッチンカーをやるのなら、単価が高く、回転率がいいものを選ぶべきかなと思います。こちらの記事ではキッチンカーの人気商材を紹介しています。
あまり競合がいないけれども、人気なメニューができれば最高ですね。
【徹底調査】2021年キッチンカー人気メニューランキング